「明治維新」の裏面? 実は本性!
改心した亡霊を先導役に「近代」初頭からの阿漕な侵略の事実に迫る
[反帝ドキュメンタリー・ノベル]
オサヒト覚え書き 追跡篇
台湾・朝鮮・琉球へと
石川逸子 著
◆ 発行:2019年9月
◆ 判型:四六判
◆ 頁数:344ページ
◆ ISBN978-4-87196-079-3
◆ 定価:2,600円+税
■内容紹介■
後の明治新政府の中核を成した薩長と岩倉具視ら公家によって謀殺され、
いまだうかばれずに亡霊となって詩人(著者)のもとをさ迷う
明治天皇の父オサヒト(孝明天皇)。
そのオサヒトを先導役に、周縁からこの国の汚泥を掘り起こし、
「近代」初頭からの阿漕な侵略の事実に迫る。
何よりも、明治新政府により残虐非道に抹殺され、
なおかつ現在に至るまで歴史からも抹殺され続けた
台湾・朝鮮・琉球の無数の人びとに想いを致す。
これは、同じ間違いを犯さない、取り返しのつかない過ちを二度と繰り返さない、
私たち「日本人」すべての責務である。
「毒を以て毒を制す」にならい、
「改心した亡霊のミカドをもって、明治新政府の邪悪な意図が功を奏し
いまだ幻想のミカドに牛耳られているこの国をただす」この本は、
名づけて[反帝ドキュメンタリー・ノベル]。
これは、「明治維新」の裏面か? いや、実は本性!
侵略と殺戮こそが「明治維新」の正体そのものであることを、
多くの資料から確と浮かび上がらせる。
*
「気をつけねばなりませんえ
尊王といいつつ わたしを殺めたものたちが
さながら将棋のコマのごとく
わたしのむすこ ムツヒトをもあつかい
民に向けては
現人神であらせられると崇めさせ
逆らうたものをば 容赦なく殺し
権力を維持発展させていった歴史を
ゆめ忘れてはなりませぬぞえ
ほんなら ともに学ぶ旅
よろしうにお頼みしますぞな ほほ」
(本文「オサヒトからの挨拶」より)
■著者紹介■
石川逸子(いしかわ・いつこ)
1933年、東京生まれ。詩人、作家。日本現代詩人会会員。1982年より29年間にわたって、ミニコミ通信『ヒロシマ・ナガサキを考える』全100号を編集・発行。
主な著書に、『オサヒト覚え書き―亡霊が語る明治維新の影』(一葉社)、『道昭―三蔵法師から禅を直伝された僧の生涯』(コールサック社)、『戦争と核と詩歌―ヒロシマ・ナガサキ・フクシマそしてヤスクニ』(スペース伽耶)、『日本軍「慰安婦」にされた少女たち』(岩波ジュニア新書)、『われて砕けて―源実朝に寄せて』(文藝書房)、『〈日本の戦争〉と詩人たち』(影書房)、『てこな―女たち』(西田書店)。
主な詩集に、『新編 石川逸子詩集』(新・日本現代詩文庫/土曜美術社出版販売)、『たった一度の物語―アジア・太平洋戦争幻視片』(花神社)、『定本 千鳥ケ淵へ行きましたか』(影書房)、『[詩文集]哀悼と怒り―桜の国の悲しみ』(共著、西田書店)、『狼・私たち』(飯塚書店)などがある。
■もくじ■
第一章 ヨシヒサを追って
第二章 閔王妃殺害を追って
第三章 「琉球処分」を追って